日商簿記2級試験まであと2ヶ月しかなかったら・・・
中央経済社の簿記ワークブック2級(商業簿記・工業簿記)(各700円)の章立て順に沿った解説です。ポイントとなりそうな点を自分なりに書き出しています。
本日は、
第22回 原価・営業量・利益関係の分析
第23回 原価予測の方法
第24回 直接原価計算
について解説します。範囲が明確でないのですが、要するに直接原価計算、CVP計算と呼ばれているあたりです。
直接原価計算-全部原価計算
原価計算においては、月末の販売量と在庫量がわからないと正確な原価は出せなが、販売量と在庫量に関わらず、いくらで作って、いくらで売ったら、い
くらぐらいの利益がでるのか、生産の予測のために考えられたのが『直接原価計算』、月末まで待って販売量と在庫量を知ってから正確な原価を出そうというの
が、『全部原価計算』。つまりは、全部原価計算は普通の正確な原価計算。原価計算の中で『直接原価計算』は唯一、正確でない値、だいたいの値です。なので、正確な企業の報告書には使うことができません。これだけは、原価計算の値が異なっても納得です。
直接原価計算は具体的に何が適当になっているのかというと、製造間接費は固定分と変動分に分けられる。製造間接費の固定費は例えば、『工場の減価償却費』など。これらは毎月毎月一定額だ。
正確な原価計算を行おうとする場合、固定製造間接費を当期販売分と、月末在庫分に配賦していくのだが、
一つ根本的な問題があって、『月末在庫というのは、当然、月末になってみないと分からない』ということである。もちろん、工場経営に関する報告書を提出するのは、月末までまって、きっちりと正確な減価を割り出し、そこからきっちり正確な利益を導くのだが、ここにせっかちな社長がいて、工場経理担当者に『今月の利益はどのくらいになりそうかね』と聞かれたときに、『いや、今はまだ20日なんで、月末にならないと分からないですよ』と答えるしかなかったら社長は怒るだろう。
タコ社長が怒る怒らないの話なら、適当にゴマをすってゴマかしてればいいのだが、月末にならないと利益がどのくらい出るのか知れないと、『それじゃあ、来月はどのくらい生産すればいいのか』企業として予測が立たないということである。
そこで考え出されたのが、直接原価計算である。
直接原価計算では、固定製造間接費を期末分に配賦させない。当期分にすべて配賦してしまう。ゆえに、その分だけ、原価が高く付くことになるので、営業利益が下がることになる。
だいたい『直接原価計算』がどういうものか、分かったところで、本日は、
第22回 原価・営業量・利益関係の分析
第23回 原価予測の方法
あたりの、CVP分析と呼ばれる問題について解説したい。CVP分析とは、この直接原価計算に絡んで出されることの多い問題で、いくらのものを、いくらで売ったら、どれくらい利益が上がるか予測を立てようというものである。まずは以下の公式を覚えてもらいたい
損益分岐点の販売量=固定費/製品の単位あたり貢献利益
損益分岐点の売上高=固定費/貢献利益率(売上貢献利益率)
目標利益を達成するための販売量=(固定費+目標利益)/製品単位あたり貢献利益
目標利益を達成するための売上高=(固定費+目標利益)/貢献利益
目標売上高高利益率を達成するための売上高=固定費/(貢献利益率-目標利益率)
安全率=(売上高-損益分岐点の売上高)/売上高
損益分岐点比率=損益分岐点の売上高/売上高
ここも公式の鬼嵐です。『助けてプルぅぅぅぅト!』・・・と、思わず叫んだポパイも多いでしょう。すがるように、副読本の簿記講義を開いてみると、そこはまさに、人外魔境でした。
p:製品の販売単価
X:製品の販売量
S:売上高(=pX)
V:変動費
v1:製品単位あたり変動費(=V/X)
v2:変動費率(=V/S)
F:固定費
g:目標営業利益
r:目標売上高営業利益率
SBE=F+v2SBE
∴SBE-v2SBE=F
(1-v2)SBE=F
SBE=F(1-v2)
=固定費/(1-変動比率)
Sg=F+v2Sg+g
∴Sg-v2SBE=F+g
Sg=(F+g )(1-v2)
=(固定費+目標営業利益率)/(1-変動比率)
g=rSrとおけばよい
Sr=F+v2Sr+rSr
∴Sr-v2Sr -rSr =F
Sr=F/(1-v2-r)
=固定費/(1-変動比率-目標売上営業利益率)
・・・
以下、延々延々とこの手の数式が羅列され続けます。
『ああ、なるほど、そういうことだったんか』と思えるようなら、この年になって簿記2級なんて勉強してなかったはずです。でも、ご安心下さい。こんなものを覚えきってここを乗り切った人間はごく少数です。
ここを乗り切る方法は、実は人によって様々でどれが最もよいのか判断しかねるのですが、私がとった方法は、
X=固定費+変動費/売価X (X=損益分岐点の売上高)
という方程式だけを覚えるというものです。まず『損益分岐点』というのがなにかというと、新聞を読んだり、TVのニュースでたまに出てきたりする言葉なのですが、これ以上売ったら利益がえる、売上がこれ以下なら損失になってしまうポイント、つまり、『損』と『益』の『分岐』の『点』です。
固定費が50万円、変動費(変動売上原価)が50円、売価が100円だったとき、この式に当てはめてみると、
X=50万+(50円/100円)X
X=50万+1/2X
1/2X=50万
X=100万
つまり、このケースでは100万円売り上げると、損も得もしない。100万円が損益分岐点の売上高ということになります。
では、問題が『損益分岐点の売上個数は何個か?』という問題の場合は、
100万円÷100円=10,000個です。
関係ないけど、競馬歴が長いと、『100円の100倍は1万円、1万円の100倍は100万円、100の1万倍が100万円』って常識的に知ってます。
『営業利益が20万出るようにするための売上高は?』という問題の場合は、(営業利益:α)として、最初の式に+αしてやります。損益分岐点の売上高にプラスアルファされた分が儲け、営業利益です。
X=固定費+変動費/売価X+α (X=損益分岐点の売上高、営業利益:α)
X=50万+(50円/100円)X+20万
X=70万+1/2X
1/2X=70万
X=140万
『営業利益が20万出るようにするための売上個数は何個か?』という問題なら、
140万円÷100円=14,000個です。
もう少し具体的な問題で考えてみましょう。
(第114回 問5より改題)
まず『貢献利益率は何%か?』
貢献利益率とは売上高にしめる貢献利益の割合なので、
(答)貢献利益÷売上高=28,000÷70,000=40%
『損益分岐点販売量は?』
X=固定費+変動費/売価X (X=損益分岐点の売上高)
に代入して、
X=14,000+(108+12)/200X
X=14,000+120/200X
X=14,000+3/5X
2/5X=14,000
X=35,000
(答)35,000÷200=175個
『安全余裕度を販売量でいえば?』
『安全余裕度とは損益分岐点の営業量と予定(実際)の営業量との差である』と親切にも問題文に書いてあるので、今回は、
70,000-35,000=35,000(安全余裕度)
(答)35,000÷200=175個
と簡単に出せます。そして売上高に占める安全余裕度が『安全余裕率』です。『貢献利益率』や『営業利益率』、『損益分岐点比率』は、損益計算書に書かれているので、それを売上高で割ってやればいいんだな・・・
と類推できますが、『安全余裕率』だけは『安全余裕』の文字が何を意味するのか知っていないと、『安全余裕率』を出す式がポンと頭に浮かんできません。『この安全余裕が大きければ余裕があって経営が安全だが、下がって、0になって、マイナスになってしまうと、経営はピンチになってしまう・・・』とイメージして、覚えておきましょう。第117回の問5では問題文中の説明なしに『安全余裕率』を問う問題が出てきました。
『売上高営業利益率は?』
(答)営業利益÷売上高=14,000÷70,000=20%
『売上高営業利益率26%の売上高は?』
X=固定費+変動費/売価X+α (X=損益分岐点の売上高、営業利益:α)
に代入して、
α÷X=26% α=0.26X
X=14,000+(108+12)/200X+0.26X
X=14,000+120/200X+0.26X
X=14,000+3/5X+0.26X
X=14,000+0.6X+0.26X
X=14,000+0.86X
0.14X=14,000
(答)X=100,000
『この時の貢献利益は?』
この時の販売数は、
100,000÷200=500個
変動費は 108×500=54,000
変動販売費は 12×500=6,000
貢献利益は、損益計算書を見ると分かりますが、
(答)貢献利益=売上高-変動費-変動販売費
=100,000-54,000-6,000=40,000
このように、試験レベルのCVP計算は式を一つ覚える+α程度で、計算に時間がかかっても全て解けます。『時間をかけたくない・・・』と言われる方は、がんばって公式を覚えていってください。
また、ここでは、問題を改題して桁数を落としましたが、実際の試験問題はトヨタとは言いませんが、HONDAクラスの何十億単位の物凄くスケールのでかい原価計算になっています。桁の大小に惑わされないようにしましょう。
まとめると、CVP計算でまず覚える式は、
X=固定費+変動費/売価X (X=損益分岐点の売上高)
これの派生となる式が、
X=固定費+変動費/売価X+α (X=損益分岐点の売上高、営業利益:α)
『~~率』というのは、『~~』を『売上高』で割ったもの。『~~』は損益計算書に書かれているので類推できる。ただ『安全余裕率』だけは個別に覚えて試験に安全と余裕を期しましょう。
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