カテゴリー「ゆとられ士(ザムライ)奮戦記」の記事

2009年10月12日 (月)

無害無益化する若者。派遣の功罪

連休初日の土曜日、職業訓練時代の友人と連れだって、
鎌倉に寺社巡りに行ってきた

と、いっても、アラフォー男2人で観光地へ行っても面白くともなんともない。鎌倉の大仏やら、何々寺やら見ても、歴史的な背景をお互い全く知らないので、

「これはいつ頃の建築なんですかね?」
「いや、ちょっと分からないですね・・・」
「戦争中は、攻撃とかされなかったんですかね?」
「いや、ちょっと知識ないですね・・・」
「臨済宗って親鸞でした?法然でした?」
「いや、ちょっと知らないですね・・・」

と、会話も成立しない。黙々と歩いて、挙げ句にはどこぞのカップルに、「すいません。シャッター押してもらえませんか。」と2、3度聞かれるにあたって、私のブルーは頂点に達した・・・

 

まだ就職の決まってない奴で、日頃どういう暮らしをしているのか心配だったし、たまには外に連れだしてやらないとという気持ちもあった。職業訓練時代の友達はみんな年下だし、どうしても兄貴的な配慮が働いたのだ(もちろん、アッー的な意味はないよ・・・)

最初は聞くのも辞めようかと思っていたけど、就職活動とかやってるのかと聞いてみた。ビックリしたのだが、「全くやっていない」とのことだった。呆れるにも程がある。

「これまで約1年、何回くらい面接しました?」
「いや~。面接なんてとても、とても・・・そこまで行けませんよ。」
「え? 書類はどれくらい送ったの?」
「・・・・・・・」

訓練中は、私も何度かハローワークへ誘って、求人票を探してやったりもしたので、何度か書類を送ったりもしたのかもしれない。しかし、おそらくそれを含めても2~3度しか送ってないみたいなのだ。言葉を濁しまくるので、

「何で就活しないの」と突き詰めてみると、曰く、
「もう35歳を過ぎたから、どこも雇ってくれるはずありませんよ・・・」「書類も通過しませんよ」

「・・・・・・」

「最近、社労士に興味があって、本を買ってみました。」と聞くから、
「え? 試験受けたの?」
「いや~ とても、とても。試験って難しいですか?」

聞く前に、おメエ、受けてみろよ。と・・・

 

挙げ句には「最近、生まれてこなきゃ良かったと思いますよ。」と・・・泣きそうな顔で・・・
俺に聞くなよ、親に聞け。親に・・・

 

もともと、彼は大卒以来、派遣一筋に生きてきて、派遣切りされて職業訓練にやって来た。「派遣」というシステムは、バブル崩壊後の日本経済を復興させる上で、大きな役割を担ってきた。正社員のように雇い続けば上昇していかざるをえない賃金的負担を一定のものに止めることができ、同じ理由で正社員はスキルを身につけさせ、教育を受けさせ、成長させ続けなければならないが、それが不要となる。企業の中で誰かが負わなければならない、一定の単純労働を派遣にやらせ続けることができる。そしてなにより、企業の都合に合わせて増強も縮小も可能であった。

そうすることで、日本は国際的競争力を取り戻してきた。

その一方で、スキルを全く身につけていない、何にも出来ない、能力のない、人畜無害無益な、生きる気力すら持たない、植物人間のようなロストジェネレーションを大量に生産してきたのだ。派遣の名のもとに、企業は人を成長させるという社会責任を放棄してきたのだ。日本の名だたる大企業、トヨタや日産やパナソニックや日立やキヤノンがである・・・

世界大不況の元に、派遣切りもやむを得ないものとして、正当化されつつある。この問題は闇に葬られつつある。

実際、景気が回復したとして、そういうロストジェネレーションは、正社員として再就職が可能なんだろうか。どう考えても不可能であろう。

 

民主党政権は、雇用対策として職業訓練に力を入れようとしているが、それは間違いではないだろう。しかし、本当に職業訓練を半年~2年受けただけで、企業が咽から手を出しても欲しがるような人材に成長させうるかと問われれば、職業訓練卒業生としては疑問符を付けざるを得ない。職業訓練の一環として、訓練生を1年くらい企業で雇用させるとか、最低でも、何らかの形で企業に責任を負わせる必要があると思う。

企業は、国際競争力、国際競争力とかいうが、現実にそうやって得た、利益、トヨタなどが一昨年得た、過去最高の1兆円の営業利益はどこへ消えたんだ。結局は社会へ還元せずに、投資家へ配分するから、格差社会が生まれ、真に国際競争力のない社会が生まれてしまったのではないのか。エコとか、減税とか、こども店長とか言ってないで、購買層となる若者をしっかりと育ててくれよ。

 
 

帰りの電車では、先述の無職アラフォー男は、やたらハイテンションで、「次回はどこへ行きましょうか」「今度はここなんてどうですか?」と、まるで楽しくもない旅行の行き先を検討し始めていた・・・ もう、頭もイっちゃってるのかもしれない。

私はぐっとこらえて、「ハロワへ行ってくれよ・・・」との言葉を飲み込んだ。

<了>

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2009年9月15日 (火)

「育児・介護休業等に関する規則」を作る

事務所のクライアントが、労働基準監督署か労働局から「指導」を受けたということなので、ちょっと、「育児・介護休業等に関する規則」を見直してみてくれと依頼が入った。就業規則に関する業務は、いろいろいい経験になるし、個人的にも将来的にタメになる分野だから、「私に是非やらせて」と、志願して、作り直すことにした。

と、言っても言わなくても、結局私がやらされる仕事なんだろうけど・・・

「就業規則を作る」と言っても、基本的にこれまである「就業規則」を現在の法律に乗っ取った形で改変し直すという作業だ。元は元々作ってあるので、それほど難しい作業でもない。巷には「就業規則例」みたいなのが山と溢れているしね・・・ それを元に作り直せば良いのだ。

 

そういう「就業規則例」を眺めていると、『3歳未満の子を養育する労働者については、勤務時間の短縮等の措置を講じなければならない』という記述が、最近の『就業規則』には必ず盛り込まれていることを知った。そのクライアントの就業規則には、その記述は無かったのだが、就業規則的には、必ず盛り込まなきゃいけないのかが気になった・・・

そもそも、法律でそう決まっているなら、就業規則に書いてあろうが無かろうが、『3歳未満の子を養育する労働者については、勤務時間の短縮等の措置を講じなければならない』のは絶対なのだから、わざわざ就業規則を改正してまで盛り込む必要がるのかどうか・・・

と言うわけで、労働局に電話して問い合わせてみると、2、3、あっちの部署へ回しますね、この電話に掛けてみてください・・・とたらい回しにされて暫く、ようやく目的の部署へとたどり着いた。その担当者が言うには、なんと、今年の9月30日から、、『3歳未満の子を養育する労働者については、勤務時間の短縮の措置を講じなければならない』というのが義務になったそうだ。だから、できるだけ、就業規則にもそれを盛り込んでね・・・ということだった。

これまでは、『短時間勤務等の措置』が事業主の義務であった訳であるが、これからはズバリ『短時間勤務の措置』を事業主が講じることが義務となった訳だ・・・ 「他にも改正点がいくつかあります・・・ よろしければ、冊子をお送りいたしましょうか?」と言われるので、二つ返事で「お願いします」と答え、その冊子を送って貰うこととなった。

 

育休・介休関係は、また、労働者に有利なように色々改正がなされたようだ。主な改正点をかいつまんざっとで上げれば、

・3歳未満の子を養育する場合の短時間勤務措置
・生後8週間以内なら、何度でも育休を取れる
・父母とも育休を取るなら、育休は1年2ヵ月に延長
・子の看護休暇がこれまで5日が、子が二人以上の場合は10日に延長
・片方の親が働いていない場合は、労使協定締結で、育児休業を拒否出来たのが、出来なくなった
・子の看護休暇と同様の、介護休暇というのが新設

以上、リンクを貼っておいたので、受験生はもっとちゃんと調べてね・・・

 

ちなみに、雇用保険法でも改正があり、平成22年4月以降、育児休業基本給付金と育児休業者職場復帰給付金は統合されて、最初から賃金日額の5割が支給されることとなった。

まあ、少しずつであるが、また、子供を持つ労働者、要介護対象家族を抱える労働者には働きやすい環境がまた、少しずつ整ったということか・・・

 

余談だが、障害者雇用に関しても来年7月から改正があって、あるクライアントからは対応が求められている。そもそも、労働基準法の時間外労働に関しても改正がある・・・ 他にもいろいろあるんだろう・・・ 政権も交代したことだし、いろいろ増えるんだろう・・・

 

社労士的には仕事が増えて良かったね・・・ということだが、受験生は大変だな・・・ でも、こと、これが“実務”となると、知りませんでしたでは通用しないから、必死で勉強するし、必死で覚えざるを得ない・・・

まあ、覚えちゃうんだけどね・・・

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2009年9月10日 (木)

2極化する僕ら世代

ほぼ事業所を閉め掛かってたある工場(こうば)を継がれた、社長さんがいらして、事業も順調に伸び、このたび新たに人を雇い入れるということで所長と二人して出かけていった。

世間は政権交代どこ吹く風のまだまだ厳しい経済情勢の折ではあるが、大手がどんどん潰れていく世相だからこそ、その瓦礫の隙間から若い芽が噴き出すがごとく、伸びていけるチャンスがあるのだというなかなかガッツのある社長さんだ。

自分の腕に自信と誇りを持ち、若くして一国一城の主となったからには、やっぱり魅力的な人物として目に映る。

そんな社長さんが新しく雇ったのは、まだ若い20代そこそこの青年だった。
私も3ヵ月ほど前に出かけて行った際、『トライアル奨励金』のレクチャーをさせていただいた。トライアル奨励金は、かいつまんで話せば、若者をお試し(トライアル)で雇う変わりに、国が月額3万円×3回の奨励金を出すというシステムだ。どうやら今回の雇用はそれを上手く活用されたようで、私もお役に立ててなによりだった。

若いがガッツがある奴だど、目を細めて喜んでおられた・・・ 私と同世代のまだ30代の社長だが、もう経営者としての風格が漂い始めている。

 

暫く事務所にお邪魔して、色々お話も伺ったのだが、20代の青年とは別に、私やその社長と同世代の30代の青年(壮年?)も雇用しようという話が最近あったそうだ。

その30代の青年は、最初月25万円の給料でどう?という提案に二つ返事で頷き、とりあえず、暫くは試用期間でね・・・ ということで、雇われ始めた。

ところが、使ってみると、からっきし、技術がない。仕事を任すというレベルにない。「この部品を使って組み上げるには、何日くらいかかる? コストは?」と尋ねられても全く答えられない。かといって、経理が出来るわけでもパソコンが使えるわけでもない。営業ができるわけでも、コネやパイプを持っているわけでもない。何も取り柄がみつからないのだ。

ただ、一つだけあるとすれば、ただ、言われたことを温和しく黙々とやるというだけ・・・ ただ、ただ、まじめな青年なのだ。

 

社長さんは、何かをやり遂げるという気力が感じられない、何かを極めるという気概が感じられない。社会に出てからのキミの10年は何だったの? 何をやってきたの? 分からない。理解できない。と散々嘆かれ、正直、あなたはウチみたいな零細じゃ残念だけど雇えない・・・ でも、これからどうするの? どうしたいの? と問いてみたが、自分じゃ決められなかったそうだ。

うちの所長は、就職氷河期にあって、何者にもなれず、不況の世の中にあって、今社会から見捨てられようとしている私たちロストジェネレーションに対して、しきりに可哀相だ、可哀相だと繰り返していた。

社会の新しいスタイルだ。雇用の新しいカタチだと言われ、フリーターや派遣として諸手で企業に迎えられた若者が、この平成大不況にあって、気がつけば手に何の技術もコネもなく、下手すれば、社会の落伍者的なレッテルを貼られて、残酷にアッサリ、冷静に、社会から捨てられようとしている。旧自民党のお歴々や経団連とよばれる人らが単純に悪いとは言わないが、どうにかしてくれないものか・・・

ロストジェネレーションとはよく言ったもので、ここだけ日本の各世代でポッカリ空虚な穴が空いてしまっているのではないんだろうか・・・ 一方で、今の30代世代は、羽生だイチローだとは言わないが、傑出した若者も多く出ている。格差が進んだ世代、2極化してしまった世代だ。

 

私自身、前職をドロップアウトして、社労士という資格を得ただけで、彷徨い朽ち尽きるところを運良く拾ってもらった存在だから、決して偉そうなことが言える立場にはない。重々承知の上で深く考えさせられた・・・

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2009年9月 6日 (日)

出産退職

私が勤務している事務所のクライアント先で、
従業員の方が妊娠、出産されることとなり、結局、そのまま退社されることとなった。

事業主の方からは「『自己都合退職』で手続お願いします。」と聞かされていたので、そのつもりで離職票を作成した。

ところが、後日、その方から直接事務所の方へお電話があり、「私は会社命令で解雇されたのよ。自己都合ってどういうことなの?」と怒鳴り込んできた。

「私どもは事業主さんから、自己都合とお伺いいたしまして、その旨、離職票をお作りした次第です。」
「自己都合だと失業保険が不利になるんでしょ。私は会社都合だから辞めることに同意したの。出産しても働く気は十分あるのよ。そういう約束してるの・・・」

なんだか様子がおかしい・・・

 

妊娠・出産による退職の場合、①正答な理由のある自己都合退職、②特定理由離職者に分類される退職、③会社都合退職、④家庭に入って就業する気はないのどれかに分類されることになる。

この場合、④は論外だろう。この方は妊娠・出産を経ても、従業員の方に働く気は十分ある。そもそも④を選んだ場合、失業保険が下りなくなってしまう。①と③ではこの場合、受給日数に30日の差があることが分かった・・・確かに、離職理由をを「自己都合」とされてしまうと確かに問題になってしまう。

そこで。ふと、このケースは②特定理由離職者に分類される退職に当たるのではないかと思い至った。特定理由離職者とは今年の3月31日の改正で新たに設定された離職理由者で、受給日数は会社都合や倒産なんかの場合の『特定受給資格者』と同じとなるのである(同様の要件は以前からあった)。

 

そこで、確認のため、このケースが特定理由離職者にあたるのかどうか、ハローワークへ電話で問い合わせてみた。閉口一番、

「いえ、この場合は特定理由離職者にはあたりません。」

と即座に否定されてしまった。このケースで特定理由離職者となるための要件として、

ただし、「特定理由離職者の範囲」のⅡに該当する方は、被保険者期間が12か月以上(離職前2年間)ない場合に限り、特定受給資格者と同様となります。

とされている。つまり、「正当な理由のある退職で、特定理由離職者に分類される退職」の場合は最大で受給日数が90日であるこいうことだ。被保険者期間が6ヶ月間だけで済む・・・という利点があるに過ぎない。

「ああ。そうでした。納得いたしました・・・」

ハローワークの方も、「複雑なんですがね・・・」と苦笑されていた。

 

となると①の正答な理由のある自己都合退職ということか・・・ ただし、この場合、30日以上受給期間を延長することを条件としているので、従って、最低でも30日間は“給付制限”を受けることになる。そもそも受給日数が不利になってしまう・・・

 

結局、事業主の方と話し合ってみると、会社都合にして欲しいということで、会社都合退職にすることとなった。

なんだか変な話だ。しかし、そもそも、簡単に「会社都合退職」と決められるような問題でもない。会社が従業員を解雇することに正当性を持たせるためには、解雇権濫用法理の4要件を満たさなければならない。すなわち、①人員削減の必要性②解雇回避努力 ③人選の合理性④解雇手続の妥当性を満たす必要があるのだ。

しかし、従業員側に解雇の無効を訴える気はなく、受け入れるのが前提であるなら、「会社都合」という解雇としても問題はないのだろう・・・

 

ところが、それで落ち着くのかと思えば、労働基準法19条で妊産婦は出産後8週間+30日は絶対的に解雇することができない・・・ということに気がついてしまった。

 

なんだこれは・・・

結局、会社を辞めることが、辞めさせることが出来なくなってしまった・・・

 

従業員を解雇する前に、退職する前に、社労士に一報くれていれば、ちゃんとよく話し合っていれば、どこかでこの矛盾を回避できたかもしれない・・・

そもそも、女性を結婚したから、妊娠したから、出産したから・・・労働力になりえないからといって簡単に解雇するのが間違ってる。それが習慣化してしまっているから、形骸化しているから、こういったたぐいの問題が発生してしまう。そんな世の中がいけないのだ・・・

かといって、「働けない人間を在籍させることは、今のウチの経済状態では出来ない。先生、ウチの会社を潰す気ですか」と問われれば、何とも答えようがないのが現実だ。

 

こういう場合で、アッサリと「事業主優先」の立場を貫くのが本来の社労士だろう。事業主に感謝される分だけ従業員に恨まれようと、それは享受しなければならない。私自身、この問題には踏み込まない。ましてや、雇われの身でもあるのだから・・・ 

そして今夜もまた酒が深くなる。願わくはあ、その“矛盾”の先に私の社労士としての将来の姿があらんことを願って・・・

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2009年8月16日 (日)

聖域なき構造改革

お台場に行った時、電車の中で暇だったので、たまたま池袋の本屋で「今日派遣をクビになった」という本を買って読んでいた。



 

関係ないが、私は本を月に10冊くらいは読む。漫画のコミックスは月30冊以上、読むけどね・・・ 本のジャンルは小説から実用書の類まで様々だ。貧乏なんで、本に毎月1万円もかけてられないのが本音なので、なかなか新刊で買うという訳にもいかない。半分は図書館を利用している。最近の図書館は土日も平気でやってるので便利だ。夜の7時までやってるときもある。今一番読みたいのが、村上春樹の話題作「IQ84」だが、図書館だと平気で100人待ちくらいになっている。ブクオフあたりで新古書が出るのを待ちたい。

で、「今日派遣をクビになった」の話。昨今の不況で派遣切りになった人たちのインタビュー集。この人の前作の「今日ホームレスになった」もそうであったが、こういう世間から落ちこぼれ、つまはじきにされてしまった人たちの半分は個人の責任だとしても、半分は社会に責任があるという印象を強く持つ。社労士見習いとして、こういう人たちをなんとか救いたいと真剣に思う反面、自分はこうならないように、節約節制を心掛け・・・と自分に対する半ば戒めとして読んでいる。

 

この本の中で気になった記述が一つあった。それは“あとがき”なんだが、引用させてもらうと、

「・・・貧困率とは国民の平均所得の半分以下しかない人を貧困者と定義し、国民全体の何%になるかを示すデータなのだが、これによるt2006年の日本の貧困率はアメリカの13.7%に次ぐ13.5%で2位。堂々の高貧困率国ということになる。
 (中略)
 年収が200万円以下の人は2000年の825万人から2007年には1032万人へ急増だ。ところが一方で、年収1000万円以上の高所得者も2000年の175万人から2007年は232万人へと増えている。」

なんとビックリ。小泉さんの自民党が、その後4度に渡って変わった党首が、その圧倒的多数を背景にやろうとしていた、聖域なき構造改革、規制緩和路線、派遣の製造業解禁。当時、「痛みに耐えて・・・我々はやり遂げなければならない・・・」とか声高に演説していた政治だが、当時はピンとこなくてよく分からなかったけど、なんだ大成功してるんじゃないか・・・

要するに、アメリカ的な格差社会を作りたかったというわけなんだろう。プール付きの大豪邸で優雅にパーティーを開くセレブを横目に、信じられないほどの金持ちが何千人もいる一方で、教会で、ダウンタウンで、汚いホームレスが、臭えアル中が、目がイってるヤク中が、犯罪者達が、徘徊する最強国家アメリカ。

格差社会とは、金持ちはより金持ちに、貧乏人はより貧乏にすることで、富を一極により集中させて、資本主義経済をより強固なものにせんがための政策なのだろう。

今は、リーマンショックや世界同時不況で、非正規労働者や派遣切りされた失業者が街にあふれ、100年に一度の不況という印象もあるが、一方で、大型連休の空港には年々海外に脱出するセレブ館が増加し、高速道路が1,000円だと言われれば地の果てまで光の帯を作りかねず、エコポイントだと言われれば競って大型家電に群がり、減税だといわれれば、何年先まで予約で一杯になるプリウスを買いたがる・・・ そんな小金持ちたちが街には溢れている経済大国ニッポン。何となく、何かがおかしい、おかしい、と思い続けていたのだが、裏にはそんなカラクリがあったのだ。

 

しかしそれを非難したいわけではない。

何より、そういうアメリカ型格差社会を望んだのは、誰あろう国民全員なのだ。国民全員で圧倒的に小泉自民党を支持し、聖域なき構造改革は圧倒的大多数の自民党議員のもと達成されてきたのだ。勝ち組と負け組にきっぱり別れる社会。残念ながら負け組に落ちてしまった皆さん、あなたたちは痛みに耐えなければならない。小泉さんは口を酸っぱくして言ってましたからね。「痛みに耐えろ」と。

なのに、我々国民全員が待ち望んでいた理想社会が実現し、達成されつつあるのに、ここしばらくの自民党、麻生政権の支持率の低下っぷりがサッパリ解せない。あと半月ほどすれば、鳩山さん引きいる民主党に政権を奪取されかねない失速ぶりだ。

まさか、小金持ち化した国民の大多数も、今のこの日本的格差社会に対してNOだと思っているのだろうか。街に失業者が溢れ、働きたくても働けない若者がネットカフェ難民、マクドナルド難民、ファミレス難民、ホームレス化してしまう世の中をNOだとでも思っているのだろうか。一人の金持ちが金持ちになるためには、10人の貧乏人が貧乏にならなければならない。そんなあたりまえの事実に対してNOだと思っているのだろうか・・・ 日本はやっぱり横並びの誰もが中流な社会が望ましいと思っているのだろうか。

自分達がこれまで望んだきた社会が間違っていたと思うのなら、まず、そういう政権を自分達が積極的に「支持した」という事実から反省するべきである。自民を民主に変えたくらいで、自分達の国民の政治責任が果たされたような気になるのははっきり言っておこがましい。無責任過ぎる。何かやってくれそうだから・・・ TV映えがするから・・・ そんな観点で、大切な選挙権を行使してしまった責任は、国民一人一人が、自ら取らねばならないのだ。

 
私は自慢じゃないけど、東京に移り住んで、ハタチになって選挙権を手にして、約20年間、国政、都知事選、地方選挙含め、選挙に行かなかったことはこれまで1~2回しかない。少々の雨程度なら、中学校、小学校の体育館に、たいてい投票しに行っているのだ。このブログの読者の中には、一度も選挙に行ったことがないという人もいるかもしれない。私の知り合いにも「え~!!!!! 選挙なんて一度も行ったトキねえよ」という奴は多い。しかし、あなたが今不遇を極めていると思うのなら、そんな自分自身を変えたいと思っているなら、まずは、そんな自分自身の態度から反省してほしい。

何党に投票しろよと言いたい訳ではない。

自分達の一票が、次の政権を作り、次の政策を作り、次の政治を作るのだ。各党のマニフェストにはどういう利点があるのかを知り、どういう欠点があるのか自分自身がよく考えて、大切な選挙権を行使してもらいたいと思う。

それは、必ず、自分の人生に、自分の将来に繋がっているのだから・・・

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2009年7月18日 (土)

社会保険料のしくみ3

社会保険と算定のしくみについて、備忘記録気味に書いていく。社労士受験生の参考にもなればと思う。

今回は、保険料の計算のうち端数処理 について、考えてみる。

 

世の中の事業主さんの多くは、1円単位の誤差なんて気にもとめない。平気で見逃していただける。それに甘え、社労士の先生方も、あまり深く追求されてこない方も多いのではあるまいか。しかし、私は1円単位の誤差が見逃せない性格だ。『端数処理』についてつきつめて考えてみた。

保険料率は「1000分の149.96」とか、非常に細かいので、これに標準報酬月額を掛けると1円以下の数字が発生するのだ。「3ヵ月の給料の平均額」などというのも、割り切れなかったりする場合がある。そして、ほとんどの人が単純に「四捨五入」で済ませてしまっている。しかし、1円以下の単位の計算でも、1等級ずれる可能性がある。1等級ずれると、下手すると、保険料で最大で1万円近い誤差が生まれてしまう可能性がある。

 

まず、標準報酬月額を計算する際の、3ヶ月間の給料の平均額は、1円以下は「切り捨て」で行います。

たとえば、

 4月 給料 192,530円
 5月 給料 195,530円
 6月 給料 197,530円

だったとしたら、合計した585,590円(192,530+195,530+197,530)が合計額で、これを3で割って、195,196.66666...となるが、小数点以下は切り捨てた195,196円が平均額。つまり報酬月額となり、これを等級表に割り当てて算出した190,000円が標準報酬月額となる。この場合の給料とは交通費などもろものの手当を含めた一切合切の給料のことだ。いわゆる手取額とは違う(この額から保険料と税金を控除したのが手取り額)。また、給料支払の基礎となった日数は17日以上なくてはならない。

 

そのようにして、標準報酬月額が「190,000円」とか「200,000円」とか、決定したら・・・(余談だが、標準報酬月額は「180千円」とか「200千円」とかで表現する場合が多い。結局、保険料率として「1,000分の~」を掛けることになるので、コンマ以下を省略すれば、190×82とか、190×153.5とか、計算式が簡単になるのだ)

それはともかく、標準報酬月額「190千円」の人が負担する健康保険+介護保険の保険料、詰まり被保険者負担分は、

 190×46.95(82÷2+11.9÷2)=8,920.5円

となる。つまり、8,920円50銭だ。これを給料から控除しなければならない。

ここで問題となるのが、1円以下となる数字、つまり50銭は切り上げなのか、切り捨てなのか・・・ 四捨五入なのか・・・ ということ・・・

もちろん、事業主が多く払う分には多く払ってかまわないので、切り捨てにしてかまわない。極端な話、百円以下は切り捨てで、給料から8,000円だけを控除して、残りの端数は事業主負担でも全然かまわない。ただ、厳密に「半額折半」する場合は、(国等の債権債務等の金額の端数計算に関する法律 第2条第1項)により、「事業主が、給与から被保険者負担分を控除する場合、被保険者負担分の端数が50銭以下の場合は切り捨てし、51銭以上の場合は切り上げして1円となります」とある。

つまりは、この場合は、50銭を切り捨てて、8,920円が被保険者負担分の健保+介護の保険料額となる。四捨五入ならぬ、「50捨51入」ということだ。これをExcelの数式で表現するなら、A1セルに数値を入れたとして、

 四捨五入:=ROUND(A1,0)
 50捨51入:=ROUNDDOWN(A1+0.49,0)

と表現される。

 

一方で、事業主が負担する保険料の計算式は微妙に違う。半額折半なので、被保険者が負担する保険料と同額を単純に事業主も負担すると思われがちだが、考え方が微妙に異なっているのだ。

たとえば、その企業に8人の被保険者がいたとして、それぞれの標準報酬月額が次のようであったとする。ちなみに「被保険者」とは従業員に限らない。社長であっても役員であってもよい。○○株式会社や○○有限会社、社団法人、医療法人、学校法人などの法人企業に使われる者は、だれであっても被保険者になれるのだ。その点、労災保険や雇用保険とは異なる(ただし、75歳に達すると後期高齢者医療制度・・・いまは長寿医療制度と言うことになったのか・・・になる)。具体的に、

 1、Aさん 65歳 標準報酬月額 600
 2、Bさん 40歳 標準報酬月額 500
 3、Cさん 40歳 標準報酬月額 500
 4、Dさん 40歳 標準報酬月額 400
 5、Eさん 40歳 標準報酬月額 300
 6、Fさん 40歳 標準報酬月額 250
 7、Gさん 40歳 標準報酬月額 200
 8、Hさん 30歳 標準報酬月額 126

これらの数字ををすべて合計して(600+500+500+400+300+250+200+126)、=2876。これに保険料率を掛ける。たとえば、健康保険料率(1,000分の82)を掛けると、2876×82=235,832円が企業が実際に支払う、支払わされる健康保険料額となる。

介護保険料率の考え方も同様で、40歳以上~65歳未満の人の標準報酬月額をすべて合計して、(500+500+400+300+250+200)、=2150。これに、介護保険料率(1,000分の11.9)を掛けると、2150×11.9=25,585円が企業が実際に支払う介護保険料額となる。

同じく、厚生年金保険も同様で、去年の厚生年金保険料率(1,000分の149.96)を掛けた場合、2876×149.96=421,284.96円となる。この段階で初めて、切り捨てられて、421,284円が企業負担分の厚生年金保険料額となる(※今現在の保険料率1000分の153.5を使うと小数点未満がつかないため去年の保険料率を使った)。

で、これらを合算した、682,701円(235,832+25,585+421,284)が実際に口座から引き落とされるお金で、ここから先に預かっていた被保険者負担分をさっ引いた額が、実際の企業負担分といえる。

このようにして計算した場合、企業負担分と被保険者負担分は厳密には同額にはならず、10人程度の会社で、たいてい1~3円程度違ってしまうことになる。それくらいの誤差なら気にしませんよと言っていただける事業主さんならそれでもいいんだけれど、1円単位で拘る方なら、このように厳密に計算することが求められる。

さすがに受験レベルでここまでは求められないと思います。いずれ理解すればいいと思います。

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2009年7月12日 (日)

社会保険料のしくみ2

社会保険と算定のしくみについて、備忘記録気味に書いていく。社労士受験生の参考にもなればと思う。

今回は、社会保険がどういうタイミングで発生し、事業主はどういうタイミングで納付の義務を負い、被保険者はどういうタイミングで給料から控除されるのかについて、考えてみる。

前回も書いたことと重複するが、基本として、健康保険は入社月から加入となり、退社月の前月まで保険料の納付義務を負うこととなる。例えば、ありえないだろうけど、月末にその会社に入社した場合、具体的に、4月30日に入社したような場合、4月はたとえ30日の1日しか働かなかったとしても、7月のひと月分の保険料が発生する。

そして何年かたって、7月20日に退社したような場合。その月は保険料が発生せず、前月の6月分までの保険料の納付義務を負う。日本は国民皆保険なので、退職したその人は、辞めた7月には国民健康保険へと移行する、あるいは、任意継続被保険者となる、はたまた、7月中に別の会社に就職して次の健康保険の被保険者となるか、とにかく辞めた月はもう別の保険の被保険者となってしまうので、そこで新たな保険料の納付義務発生することになる。

ここで注意するのが、月末に退社したような場合

たとえば7月31日に退社した場合は、「資格喪失日」は翌日の8月1日となる。つまり、8月はたとえ1日も働かなかったとしても、その保険の被保険者となってしまい、「前月の保険料」として、7月分までの保険料の納付義務を負うということになる。健康保険は企業と従業員の半額折半が基本なので、月末に退社すればひと月分の保険料の半額が浮かせられるというテクニックが生まれる。

社会保険の「翌日喪失」という原則は、「死亡」の場合も同じである。7月31日に死亡した場合、資格喪失日は8月1日となる。ある企業の従業員の被扶養者がお亡くなりになって、「健康保険被扶養者異動届」と「家族埋葬料」の請求を同時に行ったのだが、「家族埋葬料」には死亡日を普通に書き、「健康保険・厚生年金保険被扶養者異動届」の「被扶養者でなくなった日」の欄にも死亡日をそのまま書いて提出したら、社保庁の職員に『資格喪失日は死亡日の翌日ですから・・・』と指摘され、書き直しさせられてしまったことがあった。

むろん、私が間違った訳ではなく、その従業員の方が、ご自分で書かれたのを、ちゃんとチェックせずに提出してしまったのだが・・・ 言い訳ですね・・・

同じことは、厚生年金保険にも言える。月末に退社すれば、給料の約1割が健康保険と厚生年金保険をあわせた社会保険料なので、その半額が浮くことになる。あなたの月収が約30万円なら、1万5,000円だ。もっとも、退職して即、妻や夫の被扶養者、第3号被になれるような人は、かえって損をしてしまうかもしれないが・・・

 

次に、被保険者は、入社して健康保険および厚生年金保険に加入すると、まず、その企業の給与体系や同様の社員の初任給などを参考にして、「標準報酬月額」を決定する。いわゆる資格取得時決定というやつだ。私の事務所で扱っているような普通の会社なら、たいてい「180」か「200」だ。つまり初任給が18万円か20万円かということ・・・

その「180」に保険料率を掛けることで、企業が負担すべき保険料が算定される。その人が入社して、最初から残業をいっぱいして20万稼ごうが、25万稼ごうが、企業が負担すべき保険料は変わらないのだ。入社した時点で決めた標準報酬月額が計算のもととなる(※あまりに金額に差がありすぎると修正させられることもある)。たとえ入社時に標準報酬月額を安く見積もったとしても、4月、5月、6月の給料の平均額を元に定時算定が行われ、新しい標準報酬月額がその年の9月から適用となる。

具体的にば、4月1日に入社して、その人の標準報酬月額が「180」で、その年の8月20日に辞めたとしたら、

 4月 180×保険料率=4月分の保険料
 5月 180×保険料率=5月分の保険料
 6月 180×保険料率=6月分の保険料
 7月 180×保険料率=7月分の保険料
 8月 8月20日退職

と、4ヵ月分の保険料が発生することになる。そして、4月の保険料は、基本的に翌月、つまり5月31日が納期限あるいは、口座振替日となる。

・・・以上が、企業が負担すべき保険料の原則の全てであり、これを企業は納付する義務を負う。これと被保険者が負担すべき保険料・・・つまりは、その半額分とは別けて考えた方がよい。頭がゴチャゴチャになる。企業が負担すべき保険料は、給料が当月払いだとか、翌月払いだとかは基本的に関係がないのだ。


 

一方、被保険者である従業員は、どういうタイミングでこの保険料が給料から控除されることになるのか? 健保法167条で「通貨をもって報酬を支払う場合は、前月の保険料を報酬から控除することができる」ということになっている。

たとえば、その会社が「20日締めの25日払い」の場合

 4月 4月25日の給与(4月1日~4月20日分)からは控除できない
 5月 5月25日の給与(4月21日~5月20日分)から4月分の保険料を控除
 6月 6月25日の給与(5月21日~6月20日分)から5月分の保険料を控除
 7月 7月25日の給与(6月21日~7月20日分)から6月分の保険料を控除
 8月 8月25日の給与(7月21日~8月20日分)から7月分の保険料を控除

となる。

なぜ翌月控除が原則となっているのかというと、たとえば、上のケースで4月20日に入社したような場合、4月の給料は20日の1日しか働いておらず、18万円×1/30で25日に支払われる給料は、約6,000円くらいにもかかわらず、180×41+180×76.75=21,195円を控除されなければならないことになってしまう。これでは、給料がマイナスになってしまいかねない。

ただ、現実の実務ではこの原則を事業主が知らないことも多いので、

 4月 4月25日の給与(4月1日~4月20日分)から4月分の保険料を控除
 5月 5月25日の給与(4月21日~5月20日分)から5月分の保険料を控除
 6月 6月25日の給与(5月21日~6月20日分)から6月分の保険料を控除
 7月 7月25日の給与(6月21日~7月20日分)から7月分の保険料を控除
 8月 8月25日の給与(7月21日~8月20日分)からは控除しない

ということになっている場合も大変多い。起業する前から社労士に相談している訳でもないのだ。この場合は、厳密には被保険者から同意を得ないと、賃金の全額払いの原則に反してしまう

また、たとえば「月末締めで月末払い」のような場合で、8月31日に辞めたような場合は、

 4月 4月30日の給与(4月1日~4月30日分)からは控除できない
 5月 5月31日の給与(4月21日~5月20日分)から4月分の保険料を控除
 6月 6月30日の給与(5月21日~6月20日分)から5月分の保険料を控除
 7月 7月31日の給与(6月21日~7月20日分)から6月分の保険料を控除
 8月 8月31日の給与(7月21日~8月20日分)から7月分および8月分の保険料を控除

となることもできる。退職月に限って前月及びその月の保険料の控除が認められている。ただ、「月末締めで月末払い」というようなケースはあまりないし、こうなってしまうケースは稀だろうと思う。ところが、月末退社の場合で2月分の保険料が控除されてしまうというケースはよく耳にする話なので、その場合、多く保険料を引かれてやしないか、注意する必要がある。保険料のことは社労士さんにお任せしているから・・・ 税理士さんにお任せしているから・・・ コンピューターで処理しているから・・・ とかいいながら、間違ってしまっているケースは実に多い。ホント、洒落になりません。

 

これらと比較して、雇用保険料を給与から控除する場合は、単純で、たとえば、その会社が「20日締めの25日払い」の場合

 4月 4月25日の給与(4月1日~4月20日分)から控除
 5月 5月25日の給与(4月21日~5月20日分)から控除
 6月 6月25日の給与(5月21日~6月20日分)から控除
 7月 7月25日の給与(6月21日~7月20日分)から控除
 8月 8月25日の給与(7月21日~8月20日分)から控除

というように、支払う給料ごとに雇用保険料率(H21.7現在は1000分の4)を掛けてさっ引けばよい。雇用保険はだいたい1,000円くらいなので、引きやすいのだ。

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2009年7月 9日 (木)

世の中の多くの人は社会保険の保険料なんて気にもしていない

最近は、毎日、毎日、算定の作業だ。

『算定』とは、会社で働くあなたの1年間の保険料を決定する作業のことだ。4月~6月の3ヶ月間の給料を企業に提出、あるいは企業先へ出向いていって賃金台帳を書き写させてもらい、それをもとに3ヶ月間の平均値を割り出し、標準報酬月額を算定し、それに保険料率を掛けて保険料額を出すというしくみだ。

社労士の先生方は、毎日ヒーコラ、受験生のあなたは、このへんの複雑さに頭が痛くなっている頃かもしれない・・・

 

そして、世の中の事業主の皆様、従業員の皆様も、いくら保険料を給料からさっ引けばいいのか、自分自身の保険料がどう決定されているかなんて、およそつきつめて考えてみたこともないだろう・・・

たとえば、

『4月~6月の3ヶ月間の給料』といっても、4月~6月に稼いだ額なのか(実際には翌月払いで5月~7月あたりに支払われた給料)なのか、4月~6月に現実に支払われた給料なのか、どっち?

3ヶ月間の平均値といっても、それが割り切れなかったらどうするの? 四捨五入? 切り捨て? 切り上げ?

それよりなにより、保険料率って今いくらなの? いつから変わるの?

企業と従業員は保険料を半額ずつ折半して負担することになっているけど、1円の単位が割り切れなければどうするの? 企業が大目に負担するの?

他にも、給料が上がりました。下がりました。保険料はいつからUPするの? DOWNするの? 4月からUPしました。2等級以上です。これは定時算定でいいの? 月額変更になるの?

他にも、○○君は今月退社しました。今月の保険料は給料から引いていいの? 政府による保険の引き落としはストップされるの?
 

 

数々、数々、微妙な、ビミョ~な問題が出てくる・・・

事業主や従業員はともかく、社労士受験生にとっても、まだ知らなくてもいいレベルの問題だと思う。ただ、社労士や社労士補助が答えられないというのは問題だ。例え1円単位で保険料の齟齬が生まれてはいけない。しかし、これら全ての問題に的確に適切に正確に答えうる社労士はいるだろうか。うやむやにしてはいないだろうか?

一番客観的で、説明が簡単な、保険料率から回答していこう。

政府管掌の健康保険の保険料率は、現在『1000分の82』だ。

3年前の社労士の試験(H19、第38回選択式)でも出た気がする。当時私は、一夜漬けの勉強でたまたま知ってたので回答できた。焼け石に水程度だったが・・・

これは、今年(平成21年)の8月までで、9月からは都道府県単位でこの値が変わってくる。『政府管掌の健康保険』から、都道府県単位の『協会けんぽ』へと移行するためだ。このあたいが、たとえば、東京は『1000分の81.8』、S玉県は『1000分の81.7』となる。今年の受験生的には覚えなくていい知識かもしれない。

で、『健康保険』とセットになっているのが、『介護保険』の保険料率。これが現在は『1000分の11.9』だ。ちなみに、これは今年(平成21年)の3月に改定された数値で、それ以前は『1000分の11.3』であった。

健康保険と介護保険はいつから、いつまで払わないといけないか御存知だろうか。健康保険は年齢にかかわらず、入社すれば即である。これは『厚生年金保険』も同じ。もちろん、夫の扶養に入っているから・・・とか、第3号被保険者だから・・・とかは除く。いつまでか。75歳に達した日を含む月の前月までだ。なぜなら、75歳からは『後期高齢者医療制度』の被保険者となるからだ・・・ いまは後期高齢者医療制度とは言わず、『長寿医療制度』とか言わせようとしているんだっけ・・・?

『介護保険』は40歳に達した日を含む月から、一般に、65歳に達した日を含む月の前月までだ。なぜなら、65歳からは国民年金からの天引きとなるからだ。ちなみに、『○○歳に達した日』とは誕生日の前日を指す。

次に、厚生年金保険。毎年だんだん上がっていく情け容赦ない保険料率だ。最終的には『1000分の183』となるんだが、今年(平成21年)の8月までは『1000分の153.5』、9月からは『1000分の157.04』となる。

厚生年金保険とセットになっているのは、何か御存知だろうか。盲点になっている受験生も多いかもしれない。それは、『児童手当拠出金』だ。厚生年金保険料を納める『事業主』は、ついでに『児童手当拠出金』も納めなければならない。これが『1000分の1.3』だ。ちょうど労働保険の概算保険料を支払う際に強制的に納めさせる『石綿なんちゃら拠出金』に扱いが似ている。

厚生年金も年齢にかかわらず、従業員は入社すれば即、支払う義務が生まれる。『18歳でも』だ。支払うのは年金を受け取るようになるまで・・・ 70歳からは、『高年齢任意被保険者』となるので、被保険者であるための加入要件のハードルが格段にアップする。現実的にそんな被保険者はまずいない。つまり70歳まで保険料を納めることになる。

 

と、話が長くなるので、本日はここまで・・・

たしかに、受験生のあなたは、覚えなくてもいい知識かもしれない。

しかし、これだけは覚えておいてほしい・・・ 実務となったら、覚えなきゃならないこと必須です・・・と。 いや、数字が夢に出てきそうになるくらい、自然に憶えますって(笑)。なんてったって、『この保険料の内訳は、どういうことなのか、説明してほしい』ってクライアント様から問い合わせが入ってくるんですから・・・ 間違えても、『いや、社保庁に電話して聞いてみて下さい(^_^;)』って答えないで下さい。100%、『あそこ、何回電話しても繋がらないでしょ!』と切り替えされます。

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2009年6月25日 (木)

年更が終わったら算定

社労士の世界では、今がもっとも忙しい時期であろう。

社労士の仕事の中で最も大きい、一大イベントである年度更新・・・通称『年更』、定時算定・・・通称『算定』が今年から微妙に重なって、この時期集中しているのだ。

年更とは、クライアントである企業に、労働保険(労災保険と雇用保険)の昨年度1年間分を確定させ、今年度の概算分を出して都道府県労働局に申告し、なおかつ、(社労士的には)支払っていただけるよう、各企業へと請求書を送ることである。社労士受験の世界では、『労働保険徴収法』で解説されているところだ。ややこしくて、受験生が苦手にしている分野でもある。

実際やってみると、ややこしいことこの上ない。

去年1年間に支払った各企業の賃金を提出してもらい、Excelで集計する。時には手書きの賃金台帳のFAXであったり、時にはこちらからクライアント先へ赴いて行って、賃金台帳を見せてもらいながら、必死に写し取る。各企業がそれぞれ、Excelでまとめて、それをデータとして提出してくれれば早いのに・・・ そんな未来図はまだ先のようだ・・・

そして、一字一句間違えないように緊張して集中して入力して、賃金総額を出して、労災保険料率と雇用保険料率を掛けて確定保険料を出す。おっと、年度の初日に64歳以上の高年齢労働者の雇用保険料を引くのを忘れずにね・・・ おなじ数字を使って概算保険料も出す。不景気を反映してか、雇保だけでなく労災も保険料率は軒並み低下している。いや、低下させたのだ。今年度の被保険者の雇用保険料率はいくつか、社労士受験生の君なら、もう覚えているよね。そう、1000分の4だ。

で、確定保険料-去年の支払住概算保険料+今年度の概算保険料が、今年納付しなければならない保険料の総額となる。事務組合に所属してるクライアントなら、問答無用で分納が可能だ。

事務組合とは、それ自体を一つの事業とみなして、それぞれのクライアントを事業場とみなしているのだ。つまり、事務組合を一つの事業とみなした場合の保険料は当然、かなり高額となるので、保険料の分納が可能にしよう・・・という理屈だ。むかし、労働保険の保険料の徴収が覚束(オボツカ)なかった時代の名残のシステムだ。政府は、事務組合に保険料を徴収させる責を負わせ、そのかわりにいろいろ特典を与えた・・・と先生に伺った。

事務組合に所属していないクライアントは、保険料の総額が40万円を越えないと分納ができない。とは言え、最近の不景気を反映して、去年の概算納付分が軽く確定保険料を上回ってしまい、保険料がガクッと下がってしまうところも多い。下手すると一期目の保険料は、アスベストの拠出金だけというようなところもあるのだ。拠出金の保険料率は受験生の君なら、当然知っているよね。そう、1000分の0.05だ。

で、電子申請する。政府が推奨している、申告納付をインターネットでやってしまうシステムだ。社労士的には便利で楽でいいが、普通の企業がこれが簡単にできると知ってしまうと、我々や税理士の仕事がなくなってしまう

もちろん、電子申請ならパソコンが自動的に計算してくれるハズではあるが、勉強になるから・・・という理由で、私的にはいったん紙と電卓を使って手計算させられている。

ところが、そこまで頑張って電子申請しても、後日、労働局から電話がかかってきた。『充当分と不足分を間違えて入力してますよ』と・・・

ハズカシイ。『すいません。すいません。』と平謝り。

『こちらで直しておきますからね。正しい請求書をそちらに送付いたしますか?』

むこうでもちゃんと計算してくれるなら、簡単に誤りに気づくくらいなら、なんで、わざわざこちらに計算させるのか・・・ 不思議なところだ。税金もそうだが、それが申告納付制度の不思議なところ・・・だろう。

ともあれ、そんな大変な年更が終わったら、すぐに算定、来年度の社会保険(健康保険、厚生年金)の保険料算出の元となる標準報酬月額を算出する作業となる。またも、クライアント先に赴いていって、今年4~6月の報酬を聞いてこなければならなくい。時には手書きの賃金台帳のFAXであったり、時にはこちらから企業先へ赴いて行って、賃金台帳を見せてもらいながら、必死に写し取る作業となる。

この、年更と算定の時期が全く同じだったら、便利じゃね? と社労士界の上層部のエライ人が考えて、2つの時期をくっつけよう・・・と言い出して、それが実行に移されたのが今年はじめてになる。というわけで、この2つの時期が完全にくっついたわけでなく、今は微妙に近づいている・・・という過渡期であるため、便利でもなんでもなく、忙しい時期が微妙に重なっている・・・ということになっている。

と言うわけで最近お疲れ気味だ・・・ 神経をすり減らしながら、切磋琢磨する毎日である。ブログの更新も滞りがちというもの・・・

わずか1円でも間違うわけにはいかないからね・・・

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2009年5月27日 (水)

求人を出しに行く

所長と連れだって、ハローワークや社会保険事務所、顧問先周りなどをすることも増えた。

 

あるお客さんだが、そこは中古バイクの整備と販売を行っているところで、ずいぶんと昔からやってきた由緒正しいお店である。しかし、そこも先代の社長をはじめ従業員もかなりの高齢で、跡継ぎもおらず、この不景気、先仕事を続けるかどうか・・・ という後継者問題に直面して、もう店を閉めてもいいんじゃないかというような具合であった。

しばらく休眠していたような状態であったが、そこに一人の若い授業員が去年入ってきて、とんとん拍子に、そのまま店を継ぐことになった。若社長が誕生した。そして、今年に入って結構、仕事も順調で、従業員を雇いたいということになった。

半分雇われとはいえ、私と同い年くらいの社長にはどこか共感するようなところもあり、是非力になってあげたいとも思い、“求人のしくみ”についていろいろ情報を集めた。そもそも、2月前までは自分が求職者でもあったこともあり、普通よりはいろいろ情報や知識もあったし・・・

 

『トライアル雇用』について調べてみた。トライアル雇用というのは、本来、好景気だったときに、知識や経験がやや乏しく、本来は採用に至らないようなキャリアの人を、トライアルということで“お試し”的に有期雇用するシステムだ。そこで本人的にも従業員的にも将来的にやっていけそうなら、有期期間終了ののち、本採用、つまり期間の定めのない雇用へと移行することになる。

事業主的にはメリットは多い。まず、その有期雇用期間が2ヵ月であれば、法律的には健保・厚年の保険にかけなくて済む。トライアル雇用の有期期間は最大3ヵ月で、法律的にはどうかなんだが、その3ヶ月間かけなくてもあまり煩いことをいわれないのかもしれない(ハロワの職員がそう言うニュアンスで言ってた)。また、その3ヶ月間において1月あたり4万円の奨励金が出る。そしてなにより、使いものにならないと判断すれば、トライアル雇用終了時点で雇い止めをしてもかまわないのだ。

労働者的には、最初から高いレベルのスキルを求められることはないという前提で、なおかつ、その業界を体験的に知ることが出来る・・・ 逆に、最初から高いレベル、スキルを有した求職者にとっては、トライアル雇用のメリットは少ないので敬遠されてしまうこともあるかもしれない・・・ しかし、この超買い手市場のご時世、かつての私自身がそうであったように(?)、たとえ労働者は高いレベル、スキルを有していたとしても、トライアル雇用でも何でも雇ってほしいという求職者は多い。

つまり、事業主にとってはほとんど損することのないシステムだ。ただし、『計画書』なるものを作成して定期的に届けないといけない。

 

しかし、このトライアル雇用は、もう、ほんとうにおかしなシステムで、20歳~40歳までが若年者、45歳~65歳までを中高年齢者としてトライアル雇用の適用枠として定義しているため、なぜか40歳以上~45歳未満の5歳間の世代だけが、このシステムを使うことができない。ハローワークにパンフレットを下さいと求めに行ってきたが、1年前のものしかなかった。

ともあれ、計12万円の“奨励金”は事業主にとっては少なくない金額で、、今現在においては、トライアル雇用はハローワークの求人界においてちょっとした流行でもある。

ハローワークに行って、事業所登録用と求人登録用のOCR用紙を貰ってきて、事業主と対面しながら、いろいろ、会社の紹介の文面を考えたり、給料をはじめとして条件面を煮詰めていって用紙を埋めていった。

そして次の日、再びハローワクへ行って提出してきた。大盛況のハロワにおいて、求人受付コーナーだけは1人の列も出来ていなかった。諸手を挙げての歓迎だった・・・

別の事業所の『事務職』の求人も出してきた。そこで働いていた前の人は70代の女性で、さすがにそろそろ辞めたいということでの募集となった。『年齢不問、未経験可』なので、こっちは殺到するかもしれない・・・

偶然だが、2件重なった格好だ。なんとなく、少しずつ、少しずつ、景気は回復しているのかもしれない。どっちも、いい人が入ってくれればなと思う。私が雇用保険なり社会保険の資格取得の手続をしてあげよう・・・

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