無害無益化する若者。派遣の功罪
連休初日の土曜日、職業訓練時代の友人と連れだって、
鎌倉に寺社巡りに行ってきた
と、いっても、アラフォー男2人で観光地へ行っても面白くともなんともない。鎌倉の大仏やら、何々寺やら見ても、歴史的な背景をお互い全く知らないので、
「これはいつ頃の建築なんですかね?」
「いや、ちょっと分からないですね・・・」
「戦争中は、攻撃とかされなかったんですかね?」
「いや、ちょっと知識ないですね・・・」
「臨済宗って親鸞でした?法然でした?」
「いや、ちょっと知らないですね・・・」
と、会話も成立しない。黙々と歩いて、挙げ句にはどこぞのカップルに、「すいません。シャッター押してもらえませんか。」と2、3度聞かれるにあたって、私のブルーは頂点に達した・・・
まだ就職の決まってない奴で、日頃どういう暮らしをしているのか心配だったし、たまには外に連れだしてやらないとという気持ちもあった。職業訓練時代の友達はみんな年下だし、どうしても兄貴的な配慮が働いたのだ(もちろん、アッー的な意味はないよ・・・)
最初は聞くのも辞めようかと思っていたけど、就職活動とかやってるのかと聞いてみた。ビックリしたのだが、「全くやっていない」とのことだった。呆れるにも程がある。
「これまで約1年、何回くらい面接しました?」
「いや~。面接なんてとても、とても・・・そこまで行けませんよ。」
「え? 書類はどれくらい送ったの?」
「・・・・・・・」
訓練中は、私も何度かハローワークへ誘って、求人票を探してやったりもしたので、何度か書類を送ったりもしたのかもしれない。しかし、おそらくそれを含めても2~3度しか送ってないみたいなのだ。言葉を濁しまくるので、
「何で就活しないの」と突き詰めてみると、曰く、
「もう35歳を過ぎたから、どこも雇ってくれるはずありませんよ・・・」「書類も通過しませんよ」
「・・・・・・」
「最近、社労士に興味があって、本を買ってみました。」と聞くから、
「え? 試験受けたの?」
「いや~ とても、とても。試験って難しいですか?」
聞く前に、おメエ、受けてみろよ。と・・・
挙げ句には「最近、生まれてこなきゃ良かったと思いますよ。」と・・・泣きそうな顔で・・・
俺に聞くなよ、親に聞け。親に・・・
もともと、彼は大卒以来、派遣一筋に生きてきて、派遣切りされて職業訓練にやって来た。「派遣」というシステムは、バブル崩壊後の日本経済を復興させる上で、大きな役割を担ってきた。正社員のように雇い続けば上昇していかざるをえない賃金的負担を一定のものに止めることができ、同じ理由で正社員はスキルを身につけさせ、教育を受けさせ、成長させ続けなければならないが、それが不要となる。企業の中で誰かが負わなければならない、一定の単純労働を派遣にやらせ続けることができる。そしてなにより、企業の都合に合わせて増強も縮小も可能であった。
そうすることで、日本は国際的競争力を取り戻してきた。
その一方で、スキルを全く身につけていない、何にも出来ない、能力のない、人畜無害無益な、生きる気力すら持たない、植物人間のようなロストジェネレーションを大量に生産してきたのだ。派遣の名のもとに、企業は人を成長させるという社会責任を放棄してきたのだ。日本の名だたる大企業、トヨタや日産やパナソニックや日立やキヤノンがである・・・
世界大不況の元に、派遣切りもやむを得ないものとして、正当化されつつある。この問題は闇に葬られつつある。
実際、景気が回復したとして、そういうロストジェネレーションは、正社員として再就職が可能なんだろうか。どう考えても不可能であろう。
民主党政権は、雇用対策として職業訓練に力を入れようとしているが、それは間違いではないだろう。しかし、本当に職業訓練を半年~2年受けただけで、企業が咽から手を出しても欲しがるような人材に成長させうるかと問われれば、職業訓練卒業生としては疑問符を付けざるを得ない。職業訓練の一環として、訓練生を1年くらい企業で雇用させるとか、最低でも、何らかの形で企業に責任を負わせる必要があると思う。
企業は、国際競争力、国際競争力とかいうが、現実にそうやって得た、利益、トヨタなどが一昨年得た、過去最高の1兆円の営業利益はどこへ消えたんだ。結局は社会へ還元せずに、投資家へ配分するから、格差社会が生まれ、真に国際競争力のない社会が生まれてしまったのではないのか。エコとか、減税とか、こども店長とか言ってないで、購買層となる若者をしっかりと育ててくれよ。
帰りの電車では、先述の無職アラフォー男は、やたらハイテンションで、「次回はどこへ行きましょうか」「今度はここなんてどうですか?」と、まるで楽しくもない旅行の行き先を検討し始めていた・・・ もう、頭もイっちゃってるのかもしれない。
私はぐっとこらえて、「ハロワへ行ってくれよ・・・」との言葉を飲み込んだ。
<了>
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