ウイニング・チケットに物申す!
今現在、ヤングマガジンで誌で
「ウイニング・チケット」という競馬漫画が連載されている。
この漫画が、これまでの競馬漫画とちょっと毛色が異なるのは、
馬券指南書的な部分を合わせ持つという点だろう。
ギャンブル漫画があるように、麻雀漫画があるように、
パチンコ漫画があるように、競馬も、騎手や馬の側からではなく、
ギャンブルに興じるファンの目線の立場からの漫画があってもいい。
しかし、「競馬予想」をテーマに漫画を書くのは2つの点で困難だ。
一つは、馬や騎手の具体名を出しづらいという点。
あるTVゲームで、自分の名前によく似た
騎手名にクレームを付けた騎手がいると聞く。
いわく、「自分はあれほどヘボではない」と。
たしかにそうなのかもしれないが、アホではある。
自分も含め、自分ら世代の多くが、スーパーファミコンの
「ダービースタリオン」をきっかけに競馬を始めたように、
競馬が新たなファンを取り込む要素とは、
ディープインパクトのような優れた名馬でなく、
漫画やゲームといった他のメディアからの働きかけの方が
効果的であったりもするのだ。
サイン色紙を配るだけが、ファンサービスでないことを理解してほしい。
そして、現実名を使えないと、やっぱり物語にリアリティが欠ける。
「ラムタイ」でも「ナリタブライオン」でも、そこは脳内で変換するので、
似たっぽい馬名、騎手名を付けてもらいたい。
二つ目が、馬券指南的な部分はやっぱり、漫画にしにくいということ。
馬券指南的な要素として、時計や血統、展開…さまざまな要素があるが、
それらは漫画として表現しずらいという点だ。
また、我々競馬ファンならともかく、一般の読者に、
「なにィ?ラスト3F~1Fのラップが、全て11.3秒だとォ?」
「まさか、中京で爆発するのは、母父ネヴァーヴェンド系の方かッ!」
…
とか、ウケる訳がないのだ。
結局は漫画で表現しやすい、馬券指南的な部分は
「馬体」の話が中心となっている。
自分らコアな競馬ファンとはいえ、
実は、「馬体」的な知識はからっきしである。
たぶん、ディープインパクトと川崎競馬場のモエレアルマゲドンを
目の前に並べられても区別はつかないだろう(両方鹿毛だし…)。
だから結構「馬体」的な話は興味深いんだけど、
裏を返せば「馬体」的な知識が自分にはなぜ無いのかといえば、
「馬体」を見抜く相馬眼を手に入れるには、は一朝一夕には
絶対無理で、習得は困難すぎるということと、
「馬体」的な部分がレースの結果に及ぼす部分、つまり
馬の強さに影響するのは、それほど大きくはないと思うからだ。
事実、ディープインパクト自身が、その馬格の無さを嫌われ、
サンデーサイレンス産駒としては比較的低額で取引された。
馬券の成否において「馬体」が占める割合が100%であることはありえない。
原作者もそのことには十分承知しているだろうとは思う。
しかし、話の展開もあって、馬券指南が馬体が中心となってしまう感が
いなめない。しかも、ほぼ100%勝つ。それもありえない。
なかには、相馬眼を極めれば、漫画の主人公のように
「簡単に大金を掴めるんだ!」と勘違いするお子様もいるだろう…
喜んで、餌食にするだけなので、そんな若者の登場を心から願いたい。
つづく
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